
監修:愛知県がんセンター中央病院 副院長・胸部外科部長 光冨徹哉先生
わたしたちのからだはたくさんの「細胞」で構成されています。
正常な細胞では、必要なときに増殖し、不要なときには増殖しないといった仕組みが、細胞のなかにある遺伝子に書き込まれているため、細胞が一定以上には増殖しないようにコントロールされています。
しかし、なんらかの原因によって遺伝子に異常が起こるとこの仕組みがうまくコントロールできなくなり、細胞は制限なく増殖するようになります。

こうして限りなく増殖する性質をもった細胞を「がん細胞」といい、がん細胞はどんどん増殖してまわりの臓器に影響を与えたり、また、からだのあちこちに転移して他の臓器にも影響を与えるようになります。

がん細胞が増殖したり、からだのあちこちに転移するのには、さまざまな遺伝子の異常がかかわっています。
近年、これらの遺伝子の異常についての多くの研究が進められた結果、非小細胞肺がん、大腸がん、乳がんなどでは、それぞれのがんに特有な遺伝子の異常が認められることがわかってきました。
非小細胞肺がんではEGFR遺伝子やKRAS遺伝子の変異、大腸がんではKRAS遺伝子の変異、乳癌ではHER2遺伝子増幅といった異常が認められています。
また、これらの異常がある患者さんとない患者さんでは、抗がん剤による治療効果に差が認められることがわかってきました。
そこで、がんの治療を行うにあたって、より効果的な治療法を選択するためには、これらの遺伝子の異常を調べることが一般的となってきています。